科学者に造られた人形の話。

彼女はジャンプで宙を飛ぶことができる。点々と着地しながら辿り着いた先は小さなガソリンスタンド(イエローハットにも見えた気が)。従業員に怪しまれるが、何を聞いても怒鳴っても脅しても彼女は全く反応しなかった。

そこへ彼女と同じくらいの歳の青年(17くらいに見える)の従業員が出てきて、彼女を見ると笑いかけた。彼女は少し顔を傾けて応えた。青年はあっさりと仕事を辞め、怒ったり困惑したりしている従業員等を置き去りにして、服を着替えて彼女の手をとってその場を後にした。

彼は彼女を作った科学者だった。暫く攫われた彼女の情報を集めるため身を隠していた。本来は35を過ぎているはずなのに、彼女に向ける笑顔だけはまるで少年のような明るさを感じる。会話は殆ど彼の問いに彼女が答えるだけだったが、彼女は主人のそばにいることが唯一の幸福であり、彼は彼女に語りかけているときが荒んだ心の癒しであった。

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